確定申告には、書類を郵送する方法があります。郵送による確定申告は、仕事や家庭の都合で税務署に行く時間がない方にとって、便利な方法です。しかし、多くの方が確定申告書の郵送方法がわからなかったり、郵送手続きのリスクが気になったりして不安を抱えています。
この記事では、確定申告書を郵送する方法や必要書類、注意点などについて解説します。記事を読めば、正確かつ効率的に確定申告書の郵送手続きが可能です。郵送で確定申告をして、会計処理の負担を減らしましょう。
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確定申告書を郵送する方法

確定申告書の郵送による提出は、以下の手順で処理します。
- 納税地の提出先を確認する
- 郵送用封筒に宛名を書く
- 返送用封筒に切手を貼る
- 必要書類を同封する
- 確定申告書類を郵送する
納税地と提出先を確認する
確定申告書類を郵送するために、納税地と提出先を正確に把握しましょう。納税地は原則として住所地ですが、住所地以外の場所を納税地とする場合は、事前に税務署への届出が必要になります。確定申告書の提出先は、納税地を管轄する税務署です。税務署の所在地は、国税庁のウェブサイトで簡単に確認できます。
納税地が不明な場合は、最寄りの税務署に問い合わせてください。転居した場合は注意が必要です。確定申告書は、新しい住所地の税務署に提出します。複数の納税地がある場合は、主たる納税地の税務署に提出してください。適切な税務署に確定申告書を郵送すると、スムーズな申告手続きが可能になります。
郵送用封筒に宛名を書く
郵送用封筒に必要事項を記載しましょう。郵送用封筒に記載する内容は、以下のとおりです。
- 税務署の正式名称や郵便番号、住所
- 自分の氏名や郵便番号、住所
- 「所得税確定申告書在中」の朱書き
封筒はA4サイズを折らずに封入できる「角形2号」を使用します。文字は、黒または青のペンで、大きめにはっきりと書きましょう。郵便番号と住所、税務署名を省略せずに正確に記入してください。「所得税確定申告書類在中」の朱書きは赤色の四角形で囲みます。
誤字脱字がないか確認し、封筒の向きに注意して正しく記入してください。確定申告書類は重要書類です。裏面には、必ず自分の氏名と住所を記載しましょう。切手は郵便物の大きさと重さにより金額が変わります。すべての書類が封入できたら、正しい金額の切手を封筒の右上に貼りましょう。
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返送用封筒に切手を貼る

確定申告書を郵送する際に返送用封筒を同封すると、確定申告書を収受した日付と税務署名がわかる書類が返送されます。収受印による提出事実の確認方法は、2025年1月以降廃止が決まっていますが、当分の間は希望者に対応しています。A4サイズの書類が入る長形3号などの返信用封筒を同封しましょう。
返信用封筒を同封する際、切手を貼り忘れないように注意してください。封筒の宛名面に、自分の郵便番号と住所、氏名を書き、封筒の重さに応じた金額の切手を封筒の右上に貼ります。複数の切手を貼る場合は、切手が重ならないように貼りましょう。
封筒に「返信用」と大きく記載すると、税務署側にも一目でわかります。封筒の裏面は何も記入する必要はありません。返信用封筒は封をしないでください。
必要書類を封入する
書類を封入する際には、確定申告書を一番上にして書類を重ねて入れます。書類は折り曲げて送っても問題ありませんが、作業効率を考え「角形2号」封筒を使用して、折り曲げずに送ると親切です。提出書類のコピーを取り、手元に保管しましょう。複数年分をまとめて送付する際は、年度ごとに分けて封入します。
書類に不備がないか最終確認をしてから封入しましょう。源泉徴収票や領収書なども忘れずに入れてください。封をするテープを貼り、内容物の保護に努めましょう。
確定申告書類を郵送する
確定申告書類を郵便局または郵便ポストに投函する際は、簡易書留や特定記録郵便などの追跡可能な方法を利用します。レターパックも有用です。書類の紛失や遅延のリスクを最小限に抑えられます。締め切り直前の郵送は避け、十分な時間的余裕をもって送付してください。
書類の不備や不足がないか再確認し、郵送します。個人情報保護のため、封筒の封がしっかりと閉じているか確認してください。郵送後は確定申告書類の控えを保管し、必要に応じて追加資料の提出に備えます。郵便物の引受証明書は必ず保管し、万が一の場合に備えましょう。
確定申告書を郵送する際の必要書類

確定申告書を郵送する際は、必要な書類を漏れなく準備してください。主に、以下の必要書類が挙げられます。
- 本人確認書類
- 各種控除証明書
- 支払調書
個人の状況によって必要な書類は異なるので、自分に当てはまる書類を確認してください。
本人確認書類
本人確認書類は、確定申告書を郵送する際に必要不可欠な書類です。本人確認書類(写)添付台帳にマイナンバーカードの表裏の写しを添付します。マイナンバーカードがない場合は、通知カードかマイナンバー記載の住民票の写しと身元確認書類の写しが必要です。
身元確認書類には、運転免許証やパスポート、健康保険証、住民基本台帳カード、在留カードなどがあります。身元確認書類のいずれかの写しの提出が必要です。本人確認書類は、原本を添付しないよう注意してください。コピーを取る際は、本人確認書類の両面をコピーし、記載内容が明確に読み取れるかチェックしましょう。
各種控除証明書

各種控除証明書は、申告者の税金を正確に計算するために必要です。主な控除証明書には以下のものがあります。
- 医療費控除の明細書
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 寄附金控除に関する証明書
- 住宅ローン控除証明書
- 社会保険料控除証明書
医療費控除を受ける場合は医療費控除の明細書が必要です。生命保険料控除を受ける場合は生命保険料控除証明書を貼付してください。控除証明書は、契約している保険会社や金融機関、日本年金機構などから発行されます。確定申告の時期が近づくと、それぞれの機関から証明書が届きます。届かない場合は請求しましょう。
申告年度の1月1日~12月31日までの期間に対応した控除証明書を用意します。控除証明書は原本を提出する必要があるので、コピーを取って保管しましょう。後日確認が必要になった場合にも対応できるため安心です。
支払調書
支払調書は、個人が受け取った収入や支払いについて、支払者が税務署に提出する書類です。支払調書には、さまざまな種類があります。給与所得の源泉徴収票や配当所得の支払調書、不動産所得の支払調書、利子所得の支払調書などが挙げられます。
支払調書は、確定申告の際に収入金額や源泉徴収税額を正確に申告するために必要です。支払調書がない場合、正確な申告ができず、税務署から問い合わせがくる可能性があります。支払調書は通常、支払者から1月末までに送付されます。届かない場合は、支払者に直接問い合わせて入手しましょう。
確定申告書を郵送する際の注意点

確定申告書を郵送する際の注意点をまとめました。以下の点に注意して確定申告の郵送手続きをしましょう。
- 提出期限日を守る
- 宅配便やゆうパックは使えない
- e-Tax利用の控除は受けられない
提出期限日を守る
確定申告書を郵送する際、提出期限日を守りましょう。確定申告書の提出期限は3月15日までの必着で、消印有効ではありません。提出期限までに税務署に届く必要があるため、早めの郵送を心がけましょう。1週間程度の余裕をもって投函すると安心です。
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期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。追加の税金を避けるためにも、期限の遵守が重要です。郵便追跡サービスを利用して到着確認をすると、送付先に届いたかを確認できます。特別な事情がある場合は期限延長申請を検討しましょう。
宅配便やゆうパックは使えない

確定申告書を郵送する際に、宅配便やゆうパックは使用できません。税務署は郵便法で定められた郵便物以外を受け付けないため、宅配便やゆうパックで送ると受け取りを拒否される可能性があります。確定申告書の提出には必ず郵便サービスを利用しましょう。書留や簡易書留などを利用すると、確実に税務署に届けられます。
e-Tax利用の控除は受けられない
確定申告書を郵送する場合、e-Taxを利用した場合に適用される、電子申告の利便性向上のための控除を受けられません。郵送での申告は従来どおりの控除のみが適用されるため、e-Taxを利用する場合と比べて控除額が少なくなります。
確定申告書を郵送する際のリスクと対策

確定申告書を郵送する際のリスクと対策を以下で紹介します。
- 税務署に再提出や再訪問が必要になるリスク
- 誤った金額で納付・還付されるリスク
- 延滞税を支払うリスク
税務署に再提出や再訪問が必要になるリスク
確定申告書を郵送すると、確定申告書を再提出したり、税務署を訪問したりしなければならないケースがあります。再提出や追加書類の提出、直接訪問、修正申告が必要になるのは、以下の問題が発生した場合です。
- 記入ミス
- 提出書類の不備や添付書類の不足
- 税務署からの問い合わせへの対応不能
- 郵送中の書類紛失
- 署名や押印の欠落
- 計算誤り
- 申告内容への疑義
書類を丁寧に作成し、十分に確認すると、リスクを減らせます。必要な書類をリストアップし、提出書類の不備を防ぎましょう。税務署からの問い合わせに対応できるよう、提出書類のコピーを保管しておくと、再提出や再訪問のリスクを軽減できます。
誤った金額で納付・還付されるリスク

確定申告を郵送ですると、誤った金額で納付や還付をされるリスクがあります。申告者側のミスや税務署側の処理ミスによって発生する問題です。主な原因は、計算ミスや転記ミスによる誤った申告や、必要書類の不足や添付漏れ、税務署での書類チェックの見落としなどです。
手続きのミスにより、還付金の過大支給や過少支給が発生する可能性があります。納付金額の誤りによる追徴課税や、修正申告や更正の請求が必要になる場合もあります。金融機関での振込ミスや納付期限の超過にも注意が必要です。誤った申告は、罰則のリスクも伴います。
リスクを回避するために、申告内容を何度も確認し、必要な書類をすべてそろえましょう。不安点がある場合は、税務署に問い合わせて慎重に対応してください。
延滞税を支払うリスク
確定申告の納付期限までに納税しなかった場合、延滞税が発生します。申告内容に誤りがあり、修正申告が必要な場合にも延滞税が発生する可能性があります。延滞税は未納日数に応じて計算され、未納期間が長いほど負担が増えるため早めの対応が必要です。
延滞税を避けるために、確定申告書の提出と納付を期限内に済ませましょう。一括払いが難しい場合は、分割納付や納税猶予制度の活用を検討してください。確定申告書の郵送準備は早めにしましょう。余裕をもって適切に手続きをすれば、延滞税のリスクは回避できます。
確定申告を郵送以外で簡単にする方法

確定申告を郵送以外で簡単に済ませられる、以下の方法について紹介します。
- 確定申告ソフトを活用する
- e-Taxを活用する
確定申告ソフトを活用する
確定申告ソフトを活用して、確定申告の手続きができます。無料の確定申告ソフトもあり、初めて確定申告する人や単純な収入構造の人におすすめです。複雑な収入構造や多様な控除がある人には、高度な機能を備えた有料の確定申告ソフトが適しています。
確定申告ソフトを選ぶ際は、収入構造に応じた選択がポイントです。必要な機能が備わっているか、使いやすいかなども考慮してください。サポート体制も確認しましょう。確定申告ソフトを使うと、確定申告の手続きを効率的に進められますが、入力を誤らないよう注意が必要です。
e-Taxを活用する
e-Taxを活用すると、確定申告をより簡単かつ効率的に完了できます。e-Taxとは国税電子申告・納税システムのことで、インターネット上で確定申告や納税ができるサービスです。e-Taxは、24時間365日いつでも利用できるので、自分の都合に合わせて申告作業を進められます。
申告書類の作成から提出まで、すべてオンラインで完結するため、税務署に行く手間を省けます。e-Taxの利用手順は以下のとおりです。
- 必要書類の準備
- e-Taxのウェブページにアクセス
- 確定申告書の作成
- e-Taxで確定申告書を送信
添付書類も電子データで送信できるので、郵送の手間が省けます。申告内容の訂正や追加も簡単にできるため、間違いがあっても素早い対応が可能です。e-Taxを利用すると還付金の振込が早くなるメリットもあります。5年間の申告データを保存できるので、翌年の申告時に前年のデータを利用できます。
e-Taxの活用は、確定申告の手間を大幅に削減し、効率的な申告が可能です。
まとめ

確定申告書の郵送は税務署に行く時間がない方にとって便利な方法です。手順を守るとスムーズに郵送できます。確定申告書の提出期限を守り、内容を十分に確認してミスを防ぎましょう。重要な書類には、確定申告書と本人確認書類、各種控除証明書が含まれます。
確定申告書を郵送で提出する際のリスクを理解し、注意点に気を付けながら確定申告書を郵送してください。郵送時は書留や特定記録郵便を利用し、期限内に必着するように発送しましょう。確定申告ソフトやe-Taxを活用すると、より簡単で正確な申告が可能です。自分に合った方法を選び、確実に確定申告を済ませましょう。
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