【正しく申請】確定申告に必要な書類とは?ケース別・控除別でわかる書類まとめ

確定申告の時期は、必要書類の準備に悩む人が多くなります。書類の種類が多く、必要なものを見極めるのは簡単ではありません。書類が不足すると、控除が受けられなかったり申告が受理されなかったりする恐れがあります。この記事では、確定申告に必要な書類をケース別・控除別に解説します。

記事を読めば、確定申告をスムーズに進めることが可能です。確定申告に必要書類は、共通の基本書類と状況に応じた書類に分けられます。まずは確定申告書やマイナンバー関連書類などの基本書類を用意し、次に収入や控除に応じた書類をそろえましょう。

目次

確定申告の必要書類

確定申告を行う際は以下の書類が必要です。

  • 確定申告書
  • マイナンバー関連書類
  • 本人確認書類
  • 所得を証明する書類
  • 控除に関する書類
  • 銀行口座情報

確定申告書

確定申告書は所得税と復興特別所得税の申告に必要で、書類を提出することで納税や還付を受けられます。確定申告書は2種類あり、A様式は給与・年金所得向け、B様式は事業・不動産所得向けです。記入欄には、氏名や住所、マイナンバー、所得や控除の内容、納付・還付額を記載します。

所得の内容によっては、青色申告決算書や収支内訳書の提出が必要です。給与所得者は源泉徴収票を添付し、還付申告には口座情報も記入しましょう。最後に署名または押印して完成です。確定申告書の作成は難しく感じますが、国税庁のウェブサイトを使えば、画面の案内に従って簡単に作成できます。

マイナンバーに関する書類

確定申告では、マイナンバーに関する書類の提出が必要です。以下の書類のうち、いずれか1つを提出する必要があります。

  • マイナンバーカード
  • マイナンバーの記載がある住民票の写し
  • マイナンバー記載の住民票記載事項証明書
  • 通知カード(令和2年5月25日で新規交付終了)

住民票の写しやマイナンバー記載の証明書は、市区町村の窓口で取得できます。書類を紛失した場合は速やかに再発行の手続きをしましょう。

本人確認書類

確定申告では、氏名や住所、生年月日が記載された公的な本人確認書類が必要です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、健康保険証、在留カードが使用できます。写真付きの身分証明書が望ましいですが、ない場合は複数の書類を組み合わせて本人確認を行います。

運転免許証などは単体で使用できますが、健康保険証など写真のない書類は追加の証明が必要です。判断に迷った場合は、事前に税務署に確認しましょう。

所得を証明する書類

確定申告では、収入を正しく把握し税額を計算するために、所得を証明する書類が必要です。主な証明書類には以下のものがあります。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 年金の源泉徴収票
  • 報酬・料金等の支払調書
  • 配当金の支払調書
  • 特定口座年間取引報告書

事業所得がある場合は、収支内訳書や売上帳、仕入帳が必要です。不動産所得や雑所得には収支明細書、株式譲渡益には譲渡の計算書、海外所得には外国税額控除の書類を用意しましょう。

控除に関する書類

控除に関する書類は税額に影響するため、正確に準備してください。主な控除書類には以下のものがあります。

  • 源泉徴収票
  • 保険料控除証明書
  • 医療費の領収書
  • 寄附金受領証明書
  • 住宅ローン控除証明書
  • 障害者手帳の写し

医療費控除には医療費の領収書、住宅ローン控除には控除証明書が必要です。書類は年間を通じて計画的に集めましょう。領収書を失くすと控除を受けられないため、保管には注意が必要です。書類がそろわない場合は、税務署に相談してください。

銀行口座情報

確定申告で還付金を受け取るには、銀行口座の情報が必要です。金融機関名や支店名、口座種別、口座番号、口座名義人を正しく記入しましょう。記入ミスを防ぐために、通帳の表紙と口座情報のページをコピーしておくと安心です。

確定申告で還付金を受け取る場合、口座名義は確定申告者本人のものでなければなりません。家族名義の口座を指定しても還付されない場合があるので、注意しましょう。

【ケース別】確定申告の必要書類

確定申告の必要書類は、個人の状況や申告内容によって異なるため注意が必要です。以下のケース別に、必要書類を詳しく解説します。

  • 個人事業主・フリーランス
  • 会社員
  • アルバイト
  • 年金受給者

個人事業主・フリーランス

個人事業主やフリーランスが確定申告を行うには、事業の収支を証明するための書類が必要です。青色申告決算書や収支内訳書、売上帳、仕入帳、領収書、請求書などを準備しましょう。固定資産がある場合は固定資産台帳も必要です。副業がある場合は、給与所得の源泉徴収票を準備してください。

初めての確定申告なら開業届の控え、2年目以降は前年の申告書の控えが必要です。事業用の車両を使っている場合は車検証、事業専用口座を使用している場合は通帳を準備しましょう。自宅の一部を事業で使う場合は、家賃や光熱費の領収書があると経費計上できる可能性があります。

健康保険料や国民年金保険料の領収書、小規模企業共済の掛金払込証明書などは、控除の対象になる可能性があります。

会社員

会社員が確定申告を行う際は、収入と控除に関する書類が必要です。年間の給与や納税額が記載されている源泉徴収票は、最も重要な書類です。副業をしている場合は、給与明細書や雑所得の収支内訳書を準備しましょう。特定支出控除を受ける場合は、証明書類も必要です。

投資をしている場合は、株式の譲渡所得や配当所得の証明書を用意します。不動産収入がある場合は、不動産所得の収支内訳書も必要です。医療費控除には医療費の領収書、生命保険や地震保険の控除には各種控除証明書が必要です。

寄附をした場合は寄附金受領証明書、住宅ローン控除を受ける場合は住宅ローン控除証明書も用意しましょう。

アルバイト

アルバイト収入がある場合は、以下の書類を準備して確定申告を行いましょう。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 給与明細書(1年分)
  • アルバイト先の事業主の名称・所在地
  • 通勤費の領収書や定期券
  • 扶養控除等申告書の写し
  • 銀行口座情報
  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類

複数の勤務先がある場合は、それぞれの源泉徴収票を用意してください。給与収入が年間103万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。学生は学生証のコピーを準備しましょう。給与以外に収入がある場合は、証明書類も必要です。

年金受給者

年金受給者が確定申告をする際は、年金振込通知書や年金額改定通知書、公的年金等の源泉徴収票が必要です。副業や不動産収入がある場合は、収入を証明する書類を用意してください。医療費控除を受ける場合は領収書が、生命保険料控除や地震保険料控除を受ける場合は控除証明書が必要です。

国民健康保険料を支払っている場合は、社会保険料控除証明書を用意しましょう。ふるさと納税をしている場合は寄附金受領証明書、配当がある場合は支払調書も必要です。還付金を受け取るための銀行口座情報も忘れずに確認してください。
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【控除別】確定申告の必要書類

確定申告に必要な書類は、適用する控除の内容によって異なります。主な控除は以下のとおりです。

  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除(ふるさと納税)
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

医療費控除

医療費控除を受けるには、以下の書類が必要です。

  • 医療費の領収書または明細書
  • 医療費控除の明細書
  • 補填額の証明書
  • 健康保険証のコピー

生計をともにする家族の医療費を申告する場合は、続柄を証明する書類が必要です。状況に応じて、通院費や入院時の食事代、介護保険サービス、医薬品の領収書を用意しましょう。障害者手帳のコピーや特定疾病の認定書が必要な場合もあります。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは、自己管理のために医薬品を購入した場合に所得控除を受けられる制度です。対象は「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる市販薬です。年間の購入額が12,000円を超えると、超えた分が控除対象となります。

上限は88,000円で、健康診断や予防接種などを受けていることが利用条件です。確定申告時には、医薬品の領収書や明細書、健康管理の取り組みを証明する書類が必要です。薬局で発行される「対象商品購入金額のお知らせ」があるとスムーズに申告できます。

セルフメディケーション税制は通常の医療費控除と併用できないので注意してください。

社会保険料控除

社会保険料控除を受けるには、支払った社会保険料の証明書類が必要です。必要な書類は加入している保険の種類によって異なり、以下のものがあります。

  • 社会保険料控除証明書
  • 国民年金保険料控除証明書
  • 国民健康保険料納付証明書
  • 介護保険料納付証明書
  • 後期高齢者医療保険料納付証明書

会社員は、給与明細や年末調整済の源泉徴収票で社会保険料控除を確認できます。確認できない場合は健康保険組合や年金事務所に問い合わせて、支払い証明書を入手しましょう。自営業者は、納付書や口座振替の通帳コピーが必要です。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除を受けるには、毎年加入者に送付される控除証明書が必要です。加入者証や掛金の支払い証明書、確定申告書の第一表と第二表を準備しましょう。小規模企業共済等掛金控除額の計算書や、掛金の支払い履歴がわかる通帳のコピーがあると便利です。

確定拠出年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)、国民年金基金に加入している場合は、各証明書が必要です。

生命保険料控除

生命保険料控除を受けるには、保険会社から届く生命保険料控除証明書が必要です。証明書には控除対象の保険料額が記載されています。控除は一般生命保険や介護医療保険、個人年金保険の3種類があり、控除額は支払った保険料に応じて決まります。一般生命保険の例は以下のとおりです。

年間の支払保険料控除額
20,000円以下支払った全額
20,000円超 ~ 40,000円以下支払額 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 ~ 80,000円以下支払額 × 1/4 + 20,000円
80,000円超一律 40,000円

複数の保険に加入している場合は、種類ごとに保険料を合計し、控除額を計算します。生命保険料控除を受けるときは、確定申告書に控除額を記入してください。保険料の支払いを証明するために、領収書や通帳の写しも用意しましょう。

地震保険料控除

地震保険料控除を受けるには、必要な書類を事前に準備することが大切です。主な提出書類には、以下のものがあります。

  • 地震保険料控除証明書
  • 長期損害保険料控除証明書
  • 保険料の支払い証明
  • 保険契約者と申告者の関係を示す書類
  • 控除対象となる建物や家財の所有者を証明する書類

地震保険料控除証明書は、保険会社が発行します。証明書には支払額や控除対象期間が記載されており、領収書や通帳の写しも支払いの証明になります。家族の保険料を支払っている場合は、契約者との関係を示す書類が必要です。建物や家財の所有者を確認できる書類も準備しましょう。

控除額の計算書は自分で作成するので、保険証券のコピーがあると安心です。複数の保険に加入している場合は、それぞれの証明書を用意し、前年から内容が異なる場合は、変更点がわかる資料を添付してください。

寄附金控除(ふるさと納税) 

ふるさと納税の控除を受けるには、ワンストップ特例申請書の写しが必要です。提出していない場合は、寄附金受領証明書を用意し、寄附先や金額の一覧と控除額の計算書も準備します。必要書類は寄附の方法や申請状況によって異なり、支払方法によっては追加書類が必要です。

クレジットカード決済の場合は明細書、銀行振込の場合は振込明細書を提出してください。確定申告書の第一表・第二表と、寄附金控除に関する明細書も準備しておくと、寄附金控除の手続きがスムーズです。必要書類の種類や数が多いため、寄附を行う際にはしっかりと記録を残しましょう。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、住宅ローンを利用して住宅を取得した人の税負担を軽減する制度です。利用するには、以下の書類を提出する必要があります。

  • 借入金の年末残高等証明書
  • 登記事項証明書(原本)
  • 住民票の写し(原本)
  • 売買契約書の写し
  • 工事請負契約書の写し
  • 住宅ローン控除の計算明細書
  • 源泉徴収票(給与所得者)
  • 確定申告書の控え・収支内訳書(自営業者)
  • 耐震基準適合証明書(築年数が基準を超える中古住宅を購入した場合)
  • 増改築等工事証明書(控除対象となるリフォームを行った場合)
  • 建築確認済証の写し
  • 検査済証の写し
  • 請負代金の支払証明書
  • 住宅取得後6か月以内に入居したことを証明する書類

書類の準備は手間がかかりますが、税負担の軽減につながるため、しっかりと用意しましょう。

確定申告の必要書類に関するよくある質問

確定申告の必要書類に関するよくある質問をまとめました。確定申告の準備に不安がある人は参考にしてください。

  • 必要書類の準備を簡単にする方法は?
  • 電子申告に必要な書類は?

必要書類の準備を簡単にする方法は?

クラウド会計ソフトを活用すると、自動で書類を分類・整理してくれるので便利です。年間を通じて書類を整理する習慣をつけましょう。専用ファイルやチェックリストを使えば管理しやすくなります。前年の申告書類を確認し、税務署や国税庁のサイトで最新情報をチェックすることも大切です。

デジタル管理と日頃からのこまめな整理を組み合わせると、書類準備の負担を大きく減らせます。
» 確定申告を簡単に済ませる方法

電子申告に必要な書類は?

基本的な書類は通常の確定申告と変わりませんが、電子申告に対応した準備が別途必要です。必要な書類は以下のとおりです。

  • マイナンバーカード
  • 電子証明書
  • 確定申告書
  • 添付書類の電子データ
  • ICカードリーダー
  • e-Taxの識別番号
  • 口座情報
  • パスワード

電子申告では紙の書類ではなく、PDFや電子データを提出します。源泉徴収票や領収書、控除証明書などは、スキャンしてPDFにするか電子データで用意しましょう。マイナンバーカードと電子証明書は、本人確認や電子署名に必須です。カードを読み取るには、ICカードリーダーまたは対応スマートフォンが必要です。

e-Taxの識別番号とパスワードがないとログインできないため、事前に準備しましょう。

まとめ

確定申告に必要な基本書類には、確定申告書やマイナンバー関連書類、本人確認書類があります。必要な書類は、職業や状況によって変わるので注意してください。医療費控除や住宅ローン控除では、それぞれ決められた書類を準備します。

電子申告を利用する場合は、一部の書類をスキャンして提出できます。書類を日ごろから整理しておくと、確定申告の準備が簡単です。確定申告を正しく行い、受けられる控除を最大限に活用しましょう。
» 初めてでも安心!確定申告の書き方完全ガイド
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