確定申告の時期が近づくと、多くの方が頭を悩ませます。e-Taxを使った電子申告は便利だと聞くものの、具体的なやり方がわからず戸惑うのが現状です。この記事では、e-Taxを使った確定申告の基礎知識や具体的なやり方、ケース別の申告方法を詳しく解説します。
記事を読めば、e-Taxを活用した効率的な確定申告の方法がわかり、申告作業の負担を大幅に軽減できます。e-Taxを使えば、自宅からインターネットで24時間いつでも申告可能です。書類の提出が簡略化されるなど、e-Taxは従来の確定申告に比べて大きなメリットがあります。
e-Taxを使った確定申告の基礎知識

e-Taxを使った確定申告の基礎知識として、e-Taxの定義とおすすめする理由について解説します。
e-Taxとは国税に関する手続きをインターネットで行えるシステム
e-Taxは所得税や法人税、消費税などの申告をインターネット上で電子的に行えるシステムです。e-Taxの正式名称は「国税電子申告・納税システム」と言います。e-Taxにより自宅やオフィスから24時間365日、税務手続きができるようになりました。
確定申告期間中は混雑緩和のため24時間、e-Taxでの受付を行っているので便利です。
e-Taxの利用をおすすめする理由
e-Taxの利用をおすすめする理由は以下のとおりです。
- 申告書類が簡略化される
- 還付金の振込が早くなる
- 紙の書類を準備する手間が省ける
- 申告内容を自動チェックできる
e-Taxを使うと還付金の振込が早くなり、通常3週間程度で振り込まれます。e-Taxを利用すると、確定申告が便利で効率的になります。
e-Taxを使った確定申告の準備

e-Taxを使った確定申告の準備を以下で解説します。
- 必要なものを準備する
- 利用者識別番号を取得する
- 電子証明書を取得・登録する
必要なものを準備する
e-Taxを使った確定申告を行うためには、以下のものを準備しましょう。
- パソコンまたはスマホ
- インターネット接続環境
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー(パソコンの場合)
- 利用者識別番号
- 電子証明書
- 前年の確定申告書や源泉徴収票
- 各種控除証明書類
必要なものを準備すれば、e-Taxでの確定申告がスムーズに進められます。マイナンバーカードと電子証明書は重要です。電子証明書がないと、e-Taxでの電子署名ができません。
利用者識別番号を取得する

利用者識別番号の取得手順は以下のとおりです。
- e-Taxのウェブサイトにアクセスする
- 「利用者識別番号の取得」を選択する
- 必要事項を入力して申請する
- 通知を受け取る
- 初回ログイン時に暗証番号を設定する
通知が届いたら、記載されている利用者識別番号を確認します。e-Taxの初回ログイン時には、自分で設定した暗証番号も必要です。書面での申請の場合、通知書が届くまで最短で1週間程度かかるので、余裕を持って申請しましょう。
利用者識別番号を忘れた場合は、所轄の税務署またはe-Taxで変更等届出書を提出する必要があります。マイナンバーカード方式を利用している方はログイン後、e-Taxのマイページ「基本情報」で利用者識別番号を確認できます。
電子証明書を取得・登録する
マイナンバーカードの登録が完了すると、自動的に「電子証明書の登録・更新」画面が表示されます。画面の案内に従って電子証明書の登録を行ってください。自動的に表示されない場合は、e-Taxのメニューボタンの「利用者情報登録」から「電子証明書登録・更新」をクリックします。
電子証明書を登録する際の操作方法については、操作マニュアル「5-3 電子証明書を登録又は更新する」を参照してください。電子証明書には有効期限があるので、定期的に確認し、必要に応じて更新しましょう。電子証明書の取得手順を正しく行えば、安全にe-Taxを利用できます。
e-Taxを使った確定申告のやり方

e-Taxを使った確定申告のやり方は以下のとおりです。
- 確定申告書を作成する
- e-Taxで申告データを送信する
- 送信結果を確認する
確定申告書を作成する
確定申告書の作成は、e-Taxソフトを使うと簡単に行えます。国税庁のホームページからe-Taxソフトをダウンロードしてインストールしてください。e-Taxソフトを起動し、利用者識別番号とパスワードでログインします。e-Taxにログイン後、申告の種類を選択しましょう。
e-Taxソフトで確定申告書を作成するには、所得税申告書等を選びます。画面の指示に従って必要事項を入力しましょう。収入や経費、控除項目などの情報を正確に入力してください。e-Taxソフトには自動計算機能があるので、税額を簡単に算出できます。
確定申告書の入力が完了したら、内容が間違っていないかエラーがないか確認しましょう。確定申告に添付書類が必要な場合は、PDFなどのデジタル形式で添付します。電子署名を付与する際は、電子証明書が必要です。作成した確定申告書は、プレビュー機能で最終確認をしてから送信しましょう。
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e-Taxで申告データを送信する

e-Taxで確定申告のデータを送信する手順は以下のとおりです。
- e-Taxソフトを起動する
- 作成した申告データを選択する
- 内容を最終確認する
- 電子署名を付与する
- エラーチェックを実行する
- 送信ボタンをクリックする
- 受付結果を確認する
データの送信が完了したら、即時に受付結果を確認できます。受付結果に表示される「受付番号」は必ず控えましょう。受付番号は申告の証拠として重要です。必要に応じて、添付書類をe-Taxで別に送信するか郵送します。申告データの控えは、後日確認が必要になった際に役立つので保管しましょう。
» 確定申告の郵送方法|必要書類や注意点をわかりやすく解説!
送信結果を確認する
送信結果の確認作業を怠ると申告内容に誤りがあっても気づかず、後々トラブルになる可能性があります。送信完了画面を確認し、受付番号を控えましょう。メッセージボックスでも受付番号は確認できます。申告書等送信票をダウンロード・印刷しておくと安心です。送信結果に問題がなければ、確定申告の手続きは完了です。
確定申告に添付書類が必要な場合は税務署に郵送するか、直接持参しましょう。
» 副業の確定申告のやり方を解説!
【ケース別】e-Taxを使った確定申告のやり方

e-Taxを使った確定申告のやり方を、以下のケース別に解説します。
- 医療費控除
- ふるさと納税
- 青色申告
医療費控除
医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税を軽減できる制度です。e-Taxを利用すれば、医療費控除の申告も簡単に行えます。医療費の金額を入力すると、e-Taxで自動的に控除額が計算されるので便利です。
医療費控除の主な対象は以下のとおりです。
- 入院時の食事代
- 通院のための交通費
- 医療用具の購入費
- 病院や薬局での診療費や薬代
医療費控除は1年間の医療費の支払いで10万円を超えた部分、または所得金額の5%を超える部分の少ないほうが控除の上限です。ただし、医療費の支払いは、1年間の医療費の合計額から保険金などで補填された金額を引いた額が対象です。医療費控除を申告するためには、医療費の領収書や明細書を保管しましょう。
e-Taxとマイナポータルを連携すると医療費通知情報を自動取得できます。
ふるさと納税

ふるさと納税で寄附金控除を受けるための手順は以下のとおりです。
- 寄附先の自治体と金額を決める
- 寄附金受領証明書を準備する
- e-Taxにログインする
- 寄附金控除の情報を入力する
- 控除額が自動計算される
- 寄附金受領証明書を添付する
- 申告書を送信する
ワンストップ特例制度を利用した場合は、確定申告をする必要はありません。医療費控除などで確定申告が必要な場合は、ふるさと納税の寄附金控除の金額を確定申告書に記入しましょう。e-Taxでは寄附金受領証明書の電子送信が可能なので、スキャンしたデータを送信できます。
ふるさと納税は複数の自治体へ寄附した場合も合算して申告できますが、控除上限額に注意が必要です。
青色申告
青色申告は、個人事業主や不動産所得者が利用できる申告方法です。正確な記帳と所得計算を行うと、青色申告のさまざまな税制上の特典を受けられます。最大のメリットは、最高65万円の青色申告特別控除を受けられる点です。メリットを得るには日々の収支を正確に記帳し、複式簿記で帳簿をつける必要があります。
青色申告の手続きは、青色申告承認申請書の提出からです。日々の取引を正確に記帳し、青色申告決算書を作成しましょう。最後に確定申告書と決算書を提出すれば完了です。e-Taxを利用すれば、青色申告決算書の作成から申告データの送信まで、すべてインターネット上で完結します。
e-Taxを使った確定申告の簡単なやり方

e-Taxを使った確定申告の簡単なやり方は以下のとおりです。
- 確定申告ソフトを活用する
- 書類をデジタルで管理する
- 定期的に収入・支出を記録する
確定申告ソフトを活用する
確定申告ソフトを活用すると、確定申告の作業を効率的に進められます。確定申告ソフトの機能は以下のとおりです。
- 自動計算機能を活用する
- 過去データを引き継ぐ
- ガイダンス機能で操作をサポートする
- 控除適用漏れを防止する
- e-Taxとの連携で申告を簡単にする
確定申告に国税庁が提供する無料の「確定申告書等作成コーナー」や、民間企業が開発した有料ソフトを利用できます。確定申告ソフトとe-Taxの連携により電子申告が簡単にできるため、書類の提出や郵送の手間が省けます。クラウド型のソフトを使えば、データをオンラインで保存できるので、紛失の心配もありません。
スマートフォンやタブレットからも利用できる確定申告ソフトもあるため、外出先でも確定申告の作業を進められます。確定申告ソフトの収支管理ができる機能を活用すれば、確定申告の準備も楽になります。
書類をデジタルで管理する

紙の書類をデジタル化すると整理や検索が簡単になり、確定申告の準備時間を大幅に短縮できます。スキャナーやスマートフォンで領収書や証明書をデジタル化し、クラウドストレージサービスを利用して保存します。書類はフォルダ分けやタグ付けで整理すると効率的です。
デジタル化した書類は、OCRソフトウェアを使って文字情報を抽出すると、さらに便利になります。デジタル化すると必要な情報をすぐに見つけられるので、確定申告の作業効率が上がります。セキュリティ対策として、パスワード設定や暗号化を行うことが大切です。
書類は電子帳簿保存法に準拠した保存方法を確認し、紙の原本も一定期間保管しましょう。定期的にデジタルデータのバックアップを取れば、紛失を防げます。
定期的に収入・支出を記録する
定期的に収入・支出を記録すれば、日々の経済活動を正確に把握し、確定申告時の手間を大幅に減らせます。以下の方法で収入・支出の記録を効率的に行えます。
- 収支管理アプリを使用する
- 領収書をデジタル化する
- 銀行やクレジットカードの明細を確認する
- 経費と控除対象支出を分類する
- 毎週同じ曜日に記録を更新する
収入・支出を記録するには、特定の曜日や日にちを決めて記録を更新するのがおすすめです。毎週日曜日の夜に30分程度時間を取って記録を更新するなど、自分に合ったルーティンを作りましょう。クラウド会計ソフトを利用すれば、自動で仕訳ができるので効率的になります。
» 初めてでも安心!確定申告の書き方完全ガイド
e-Taxを使った確定申告のやり方に関するよくある質問

e-Taxを使った確定申告のやり方に関するよくある質問は以下のとおりです。
- e-Taxは無料で利用できる?
- 書類提出が不要なのはなぜ?
- e-Taxで確定申告書を修正するやり方は?
- 確定申告の期限はいつまで?
e-Taxは無料で利用できる?
e-Taxは基本的に無料で利用できます。システムの利用料金や登録料は一切かかりません。しかし、e-Taxを利用するための準備には一部費用がかかる場合があります。電子証明書の取得には費用がかかる場合などが一例です。マイナンバーカードの電子証明書は無料で取得できます。
e-Taxを利用するにはパソコンやスマートフォン、ICカードリーダー、インターネット接続などが必要です。e-Taxを利用すると印刷代や郵送代が不要になるため、コスト削減にもつながります。確定申告ソフトは無料で利用でき、自分で申告書を作成する場合に追加費用はかかりません。
書類提出が不要なのはなぜ?

e-Taxではデータが電子的に送信され、国税庁がデータを直接受け取るため、書類提出が不要です。電子署名による本人確認が行われるため、署名や押印も不要です。添付書類は電子データとして送信できるので、郵送や窓口での手続きが省略できます。
確定申告書の控えはPDFで保存できるため、紙の書類を保管する必要もありません。デジタルデータのため、書類の紛失や郵送トラブルのリスクも減少します。e-Taxはペーパーレス化にも貢献でき、環境にやさしいシステムです。確定申告書が手書きではないため、データの正確性が向上し、処理が効率化されます。
e-Taxで確定申告書を修正するやり方は?
e-Taxの修正申告の手順は以下のとおりです。
- e-Taxにログインする
- 「申告・申請等」から「修正申告」を選択する
- 修正したい年分と税目を選ぶ
- 修正内容を入力する
- 添付書類をアップロードする
- 内容を確認して電子署名を付与する
- 修正した申告書を送信する
情報の入力が完了したら、内容を再度確認し、電子署名を付与します。修正した確定申告書を送信し、受付結果を確認しましょう。必要に応じて納付手続きを行う場合もあります。修正申告書の控えはダウンロードし、大切に保管してください。
確定申告の期限はいつまで?
確定申告の期限は、原則として3月15日までです。しかし、状況によって異なる場合があります。給与所得者の場合、2月16日~3月15日までが申告期間です。還付申告の場合は、対象年度の1月1日から5年間の間に申告できます。確定申告の期限が土日祝日と重なる場合は、次の平日が期限になります。
e-Taxを利用する場合も、同じ期限が適用されるので注意しましょう。災害の影響や病気、けが、海外長期滞在などの特別な事情がある場合は、申請で確定申告の期限の延長が可能です。申告期限を過ぎると、延滞税や加算税が課される可能性があります。e-Taxなら1月上旬からデータを送信できます。
» 確定申告はいつからいつまで?期限を守ってペナルティを防止!
まとめ

e-Taxを使った確定申告は、国税手続きをオンラインで簡単に行える便利なシステムです。必要書類や利用者識別番号、電子証明書を準備し、確定申告書の作成からデータ送信、結果確認までをスムーズに行えます。確定申告ソフトの活用やデジタル書類管理を取り入れれば、さらに効率的な申告作業が可能です。
スムーズな確定申告を行うために、e-Taxを活用してください。
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