【初心者向け】青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリットを解説!

確定申告の際、青色申告と白色申告のどちらを選ぶべきか迷う方は多くいます。この記事では、青色申告と白色申告の違いを税制面や手続き面から解説します。記事を読めば、青色申告と白色申告の違いやそれぞれのメリット・デメリットがわかり、最適な申告方法の選択が可能です。

青色申告は最大65万円の特別控除が受けられるため、一定以上の所得がある場合は大きな節税効果があります。白色申告は手続きが簡単で、所得が少ない場合や副業中の方におすすめの申告方法です。

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目次

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告には、以下の点で違いがあります。

  • 税制
  • 事前申請の有無
  • 提出書類・申告方法・帳簿の保存方法
  • 記帳方法
  • 不動産所得の要件
  • e-Taxの必要性

青色申告と白色申告のそれぞれの違いを理解し、自分に合った方法を選びましょう。

税制

青色申告と白色申告の税制面での違いは、以下のとおりです。

比較項目青色申告白色申告
特別控除の適用最大65万円の控除なし
赤字の繰り越し最長3年間は赤字を繰り越して翌年以降の黒字と相殺できる赤字は原則繰り越しできない
家族への給与の扱い全額を必要経費として計上できる必要経費にできる額には上限がある
30万円未満の減価償却資産の扱い一括で経費に計上できる通常の減価償却で計算する必要がある

青色申告では特別控除を所得から直接差し引けるため、税負担を大きく減らせます。青色申告は税制面で多くの優遇措置が受けられるのに対し、白色申告には優遇措置がほぼありません。事業規模が大きくなり、安定した利益がある場合は、青色申告のメリットが大きくなります。
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事前申請の有無

青色申告をする際は事前申請が必要ですが、白色申告は特別な手続きが不要です。青色申告をする場合は「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。青色申告承認申請書の提出期限は、前年の3月15日までです。期限を過ぎた年は青色申告ができないため、白色申告での申告が必要です。

青色申告の承認を受けると、取りやめの届出をしない限り、継続して青色申告を利用できます。青色申告から白色申告に変更したい場合は「青色申告取りやめ届出書」を税務署に提出しましょう。
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提出書類・申告方法・帳簿の保存方法

青色申告では、確定申告書Bと青色申告決算書、貸借対照表の提出が必要です。青色申告で65万円の控除を受けるためには、複式簿記による帳簿作成が求められます。複式簿記とは、取引を「借方」と「貸方」の両面から記録する方法です。

会計ソフトやクラウド会計サービスを利用すれば、複式簿記による帳簿作成も簡単にできます。白色申告では、確定申告書Bと収支内訳書の提出が必要です。白色申告での帳簿は、収入と支出を記録した簡易的なものでも問題ありません。白色申告は手書きでの記帳も可能なため、パソコンが苦手な方にもおすすめです。

記帳方法

青色申告で65万円の控除を受ける場合、複式簿記で日々の取引を仕訳帳に記録し、総勘定元帳に転記します。複式簿記で記帳すると、以下の項目の動きを正確に把握できます。

  • 資産
  • 負債
  • 純資産
  • 収益
  • 費用

青色申告では、減価償却費や引当金などの会計処理を決算書に反映できるため、より実態に即した収支計算が可能です。青色申告でも10万円の控除を受ける場合は、簡易簿記での記帳を選択できます。簡易簿記は、複式簿記ほど厳密ではないため、初心者でも簡単に作成できます。

白色申告は単式簿記による記帳が認められているため、収入と経費を区分して記録するだけで十分です。白色申告では、記帳の負担が青色申告よりも軽い分、得られる控除額も少なくなります。どちらの申告方法を選択する場合でも、取引発生後は速やかに記帳する習慣を付けましょう。

不動産所得の要件

青色申告を選択すると、不動産所得に対しても最大65万円の特別控除を受けられます。不動産所得とは、土地や建物、借地権などの不動産の貸付けによって得られる所得です。不動産所得として認められるためには、継続的な収入を目的に、事業規模で賃料などの所得を得ている必要があります。

不動産所得には家賃収入だけでなく、礼金や更新料、名義書換料なども含まれます。青色申告では、不動産所得が赤字になった場合に他の所得との損益通算が可能です。白色申告では不動産所得に関する特別控除はありません。

e-Taxの必要性

e-Taxはインターネット上で確定申告ができる電子申告システムで、青色申告・白色申告のどちらでも利用できます。e-Taxを利用すると税務署に足を運ぶ必要がなく、24時間いつでも申告が可能です。e-Taxを利用する大きなメリットは、申告後の還付金の処理が早くなる点です。

青色申告では複式簿記対応の会計ソフトとe-Taxを連携させると、より効率的に申告できます。
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青色申告と白色申告のメリットの違い

青色申告は税制面での優遇、白色申告は手続きの簡便さが魅力です。青色申告と白色申告のメリットは異なるため、それぞれのメリットを理解したうえで選択しましょう。青色申告のメリットと白色申告のメリットについて、詳しく解説します。

青色申告のメリット

青色申告の最大のメリットは、最大65万円の特別控除を受けられる点です。青色申告では事業で赤字が出た場合、赤字を3年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺できます。青色申告で活用できるその他の制度は、以下のとおりです。

  • 減価償却資産の特別償却や税額控除
  • 貸倒引当金の計上
  • 純損失の繰戻し還付制度
  • 30万円未満の少額減価償却資産の即時償却
  • 開業費・創業費の5年間均等償却

家族を事業に参加させている場合は「青色事業専従者給与」として家族に支払った給与を必要経費にできます。家事案分(プライベートと事業の経費の区別)を明確化しやすい点も青色申告のメリットです。
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白色申告のメリット

白色申告の最大のメリットは、事前申請が不要で手続きが簡単な点です。白色申告は単式簿記による簡素な記帳が認められており、複式簿記や会計の専門知識がなくても利用できます。確定申告ソフトを使わなくても対応できるため、パソコンが苦手な方にも最適です。

白色申告は提出書類が少ないため、確定申告の経験がない方でもスムーズに対応できます。

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青色申告と白色申告のデメリットの違い

青色申告と白色申告のデメリットを解説します。それぞれの短所を考慮したうえで、申告方法を選択しましょう。

青色申告のデメリット

青色申告の最大のデメリットは、帳簿付けに手間と時間がかかる点です。青色申告は複式簿記の知識が必要なため、初心者には難易度が高くなっています。青色申告のその他のデメリットは、以下のとおりです。

  • 会計ソフトの導入コストがかかる
  • 事前申請手続きの手間がかかる
  • 帳簿・書類を長期保存する必要がある
  • 記帳ミスのリスクがある
  • 白色申告よりも税務調査の対象になりやすい

青色申告で赤字の繰越控除を受けるためには、日々の取引を正確に記録し続ける必要があります。途中で記帳を止めてしまうと青色申告のメリットを活かせないため、注意が必要です。

白色申告のデメリット

白色申告の最大のデメリットは、税制上の優遇を受けられない点です。白色申告では特別控除を受けられないため、税金の負担が大きくなります。白色申告では、事業で赤字が出た場合も損失を翌年以降に繰り越せません。

白色申告で事業専従者控除をする(家族への給与を経費にする)場合は、以下のどちらか低い方の金額を計上します。

  • 事業主の配偶者なら86万円、配偶者以外は1人50万円
  • 事業専従者控除をする前の事業所得などの金額を「専従者の数+1」で割った金額

青色申告では、特例で30万円未満の少額減価償却資産を一括で経費に計上できますが、白色申告では特例を利用できません。事業収入がある程度見込める場合や家族に給与を支払っている場合は、白色申告よりも青色申告の方がおすすめです。

白色申告から青色申告に変更する基準と手続き

年間所得が65万円を超える場合や事業の売上が安定してきた場合は、白色申告から青色申告への変更を検討しましょう。白色申告から青色申告に変更する際の手続きについて、以下の点を解説します。

  • 変更を検討する基準
  • 変更に必要な書類
  • 変更手続きの手順

変更を検討する基準

年間の所得が65万円以上ある場合は、特別控除の恩恵を最大限に受けられるため、青色申告への変更を検討しましょう。将来的に法人化を検討している場合は、青色申告で複式簿記の経験があると、法人会計への移行がスムーズです。事業の経費が多い場合は、青色申告で正確に計上すると税負担を抑えられます。

青色申告の帳簿は金融機関からの信頼性が高く、融資を受けやすいため、資金調達をしたい場合も青色申告への変更がおすすめです。赤字の繰越控除や青色事業専従者給与を利用したい場合も、青色申告への変更を検討しましょう。

変更に必要な書類

青色申告への変更に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 青色申告承認申請書
  • 所得税の青色申告決算書
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 帳簿書類
  • 事業専用の通帳や口座の明細
  • マイナンバーカード
  • 開業届

青色申告で65万円の控除を受けたい場合は、貸借対照表と損益計算書の作成が必須です。青色申告承認申請書を3月15日までに提出すれば、当年分の所得から青色申告が適用されます。1月16日以降に新規開業した場合は、開業日から2か月以内の提出が必要です。

変更手続きの手順

白色申告から青色申告に変更する際は「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しましょう。青色申告承認申請書は税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。申請期限は当年の3月15日までです。申請期限を過ぎると青色申告ができなくなるため、注意が必要です。

申請方法は税務署への直接提出のほか、e-Taxを利用した電子申請も選択できます。65万円の特別控除を受けたい場合は、電子申告が必要です。申請書を提出すると、税務署での審査後に「青色申告承認通知書」が送付されます。変更手続きと並行して青色申告決算書の作成方法を確認し、会計ソフトの導入も検討しましょう。

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白色申告から青色申告に変更する際の注意点

白色申告から青色申告に変更する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 税制上の影響が生じる
  • 記帳方法が変わる
  • 書類の保存期間が変わる

税制上の影響が生じる

青色申告に変更すると、白色申告にはない最大65万円の特別控除が受けられるため、納税額が大幅に減少します。青色申告では赤字を3年間繰り越し、将来の黒字と相殺できるため、長期的な税負担の軽減も可能です。青色申告では、家族に支払う給与の全額が必要経費として認められます。

青色申告の税制上のメリットを享受するためには、複式簿記での記帳が必要です。青色申告に変更する場合は、所得税や消費税を含む税制上の影響を総合的に理解する必要があります。青色申告への変更に伴い、税務調査の対象になる可能性も高まるため、より正確な記帳と書類の整理整頓を心がけましょう。

記帳方法が変わる

白色申告から青色申告に移行する際、記帳方法を複式簿記に変更する必要があります。青色申告では、収入と支出の記録だけでなく、資産や負債、資本を含めた総合的な会計記録が必要です。複式簿記に移行する場合、以下の帳簿を整理する必要があります。

  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳

日々の取引は仕訳帳に記録し、総勘定元帳に転記しましょう。事業用と私用の経費を明確に区分し、領収書と帳簿の整合性を確保してください。減価償却資産の計上方法など、青色申告に対応した仕訳のルールを学びましょう。freeeやマネーフォワード、弥生会計などの会計ソフトを利用すると記帳作業を簡略化できます。

月次での帳簿締めと残高確認を習慣化すると、年度末の申告作業がスムーズに進みます。記帳方法の変更に不安がある場合は、税理士や会計士への依頼も検討してください。

書類の保存期間が変わる

青色申告と白色申告では、以下のように書類の保存期間が異なります。

書類の種類青色申告の保存期間白色申告の保存期間
領収書7年間5年間
帳簿7年間法定帳簿:7年間
任意帳簿:5年間
請求書5年間5年間

必要書類は整理し、税務調査があった際にすぐに提出できる状態で保存しましょう。紙での保存が負担になる場合は、電子帳簿保存法に対応した方法で電子データとして保存してください。クラウド会計ソフトを利用する際は、データのバックアップ方法を確認しておくと安心です。

必要書類は、事業所や自宅などのいつでも確認できる場所に保存しましょう。保存期間が過ぎた書類を処分する際は、個人情報の扱いに十分注意してください。

まとめ

青色申告と白色申告には税制面や手続き、記帳方法などに明確な違いがあります。青色申告は最大65万円の控除や赤字の繰り越しなどの税制上の優遇がありますが、複式簿記の知識が必要です。白色申告は手続きが簡単ですが、税制上の優遇が少なく、所得が増えるほど不利になります。

年間所得が65万円を超える場合は、青色申告への変更を前向きに検討しましょう。書類の保存体制を整え、会計ソフトを上手に活用すれば、青色申告の手間を大幅に軽減できます。適切な申告方法を選んで経営基盤を整え、将来の事業拡大や安定した収益化につなげましょう。
» 個人事業主になるために必要な準備と手続きを解説

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