- 失業保険の申請方法がわからない
- 失業保険がいつからもらえるか不安でいっぱい
- 失業保険の金額や期間が知りたい
失業は誰にでも起こり得ますが、失業後の生活を支える失業保険について、わからない人は多くいます。手続きをミスしたり、申請漏れがあったりすると、失業保険が受け取れず安心して求職活動ができません。本記事では、失業保険の受給条件や申請方法、金額の計算方法などを詳しく解説します。
記事を読めば、失業保険の正しい知識を得られ、スムーズに申請手続きを行えます。失業保険を受給するには、離職理由に応じた条件を満たさなければなりません。失業保険制度を正しく活用すれば、次の就職に向けた準備期間を無駄なく有効に使えます。
» 退職後に必要な手続きとは?漏れなく効率的に進める手順を解説
失業保険がもらえる条件
失業保険受給のための条件は、以下のとおりです。
- 雇用保険の被保険者である
- 離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上ある
- 失業状態である
- 労働の意思と能力がある
- 離職理由や求職活動を報告する
一般の離職者
一般の離職者は、失業保険を受給するための条件を満たす必要があります。離職理由によって給付制限期間が異なり、自己都合退職の場合は、2か月の給付制限があります。積極的な求職活動によって働く意思や能力を示すことも条件です。65歳以上の離職者は「高年齢被保険者」として別の条件が適用されます。
定年退職も「一般の離職者」に含まれるため、注意が必要です。正当な理由のない自己都合退職では、給付制限期間が長くなる可能性もあります。雇用保険の加入期間や年齢によって給付日数も変わります。条件を自分の状況に当てはめて、失業保険が受給できるかどうかを把握しましょう。
特定受給資格者
一般の離職者よりも手厚く失業保険の受給を受けられます。特定受給資格者は、雇用保険の基本手当の受給資格要件が緩和されます。待機期間は7日間で、給付制限期間はありません。給付日数は一般の離職者よりも長く、年齢や被保険者期間に応じて90〜360日です。特定受給資格者に該当するのは、以下の場合です。
- 倒産や解雇による離職
- 雇止めによる有期契約労働者
- 契約更新されなかった離職者
- 事業主から退職を勧められた場合(退職勧奨)
- 正当な理由のある自己都合退職
特定理由離職者
一般の離職者と特定受給資格者の中間に位置し、一定の優遇措置が受けられます。ただし、特定受給資格者ほどの優遇はありません。特定理由離職者として認定されるには、離職理由を証明する書類が必要です。雇止めや契約期間満了、正当な理由のある自己都合退職は、特定理由離職者に該当します。
妊娠や出産、父母の介護も含まれます。配偶者の転勤や、定年で退職した人も特定理由退職者です。失業保険の受給手続きの際には、正確な状況説明と、適切な手続きが大切です。自分がどの区分に該当するかわからない場合は、ハローワークの窓口で相談しましょう。
失業保険のもらい方
失業保険を受け取るためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 必要書類の準備
- ハローワークでの手続き
- 説明会への参加
- 定期的な失業認定
必要書類の準備
失業保険の申請をスムーズに進めるために、必要な書類を準備してください。書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、慎重に確認しましょう。ハローワークに提出する書類は以下のとおりです。
- 離職票-1・離職票-2
- 本人確認書類
- 最近撮影した写真2枚
- 銀行通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
- マイナンバー確認書類
- 雇用保険被保険者証
ハローワークでの手続き
ハローワークでの手続きは、失業保険受給の重要なステップです。流れを理解し、必要な準備を整えておけば、申請をスムーズに進められます。ハローワークの窓口に行き、準備した書類を提出します。給付申請に必要な書類を記入したら、職員から離職の理由や今後の就職活動について質問されますので、正直に答えましょう。
受給資格が確認されると「雇用保険受給資格者証」が交付されます。失業保険の受給に必要なため、大切に保管してください。初回認定日と雇用保険説明会の日程を確認し、求職申込みを行います。手続きを確実に進めれば、失業保険の受給が開始されます。事前に手順を把握し、準備を整えておきましょう。
雇用保険受給説明会への参加
雇用保険受給説明会への参加は、失業保険を受給するための必須条件です。説明会はハローワークが指定する日時・場所で開催され、失業保険制度の概要や受給手続きの流れ、注意点について解説されます。参加者には質問時間も設けられており、不明点を解消できます。
終了後には参加証明書が発行されるため、大切に保管してください。指定日時に参加できない場合は、必ず事前に連絡し、再予約を行いましょう。最近ではオンラインでの参加が可能な場合もあるため、事前にハローワークへ確認してください。
失業認定日の手続き
失業認定日の手続きは、失業保険を受給するために欠かせません。4週間ごとに指定された日にハローワークに行き、失業認定申告書の提出や求職活動状況を報告します。失業の状態が継続していることを確認されると、次回認定日までの失業給付が支給されます。
ただし、正当な理由なく認定日に来所しない場合、給付が受けられなくなる可能性があるため注意してください。認定日に行けない場合は、事前に連絡して日程変更を申し出なければいけません。最近では、オンラインでの認定手続きが可能な場合もあります。自分の状況に合わせて適切な方法を選びましょう。
就職が決まった際は、速やかにハローワークへ報告してください。認定手続きを確実に行えば、失業保険を滞りなく受給できます。
もらえる失業保険の計算方法
失業保険の金額は、離職前の給料や年齢によって変わります。計算方法と給付率は、以下のとおりです。
- 基本手当日額:離職前6か月の賃金を180で割った賃金日額をもとに計算
- 給付率:45~80%の範囲で変動
基本手当日額と賃金日額の計算
基本手当日額と賃金日額は、失業保険の給付額を決める重要な要素です。計算方法を理解すると、受け取れる金額の見通しが立てやすくなります。賃金日額は、離職前6か月の賃金総額を180で割って算出します。賃金日額をもとに、基本手当日額が決定され、年齢に応じた給付率が適用される仕組みです。
60歳未満の場合は賃金日額の80〜50%、60歳以上65歳未満の場合は賃金日額の80〜45%です。ただし、賃金日額が高いほど給付率は低くなる傾向があり、年齢や賃金に応じて上限額が設定されています。計算は複雑なため、正確な情報はハローワークで確認しましょう。
基本手当日額の上限と給付率
基本手当日額の上限と給付率は、年齢と賃金日額によって異なります。低所得者への支援を手厚くし高所得者の自立を促すため、賃金日額が低いほど給付率は高く、高いほど給付率は低くなります。年齢別の設定は以下のとおりです。
- 60〜64歳:上限15,970円、給付率45〜80%
- 45〜59歳:上限13,500円、給付率50〜80%
- 30〜44歳:上限13,500円、給付率60〜80%
- 29歳以下:上限13,500円、給付率70〜80%
失業保険がもらえるタイミング
失業保険の受給開始時期は、離職の状況によって異なります。離職理由別の給付開始時期は、以下のとおりです。
» 失業保険の受給開始時期や給付期間などをわかりやすく解説!
- 一般の離職者:2か月
- 特定受給資格者:なし
- 特定理由離職者:なし
一般の離職者の場合
一般の離職者が失業保険を受給できるのは、退職から約2か月後です。退職日の翌日から7日間の待機期間の後、2か月間の給付制限期間があります。給付制限期間終了後、失業保険の支給が開始します。給付制限期間中も求職活動が必要です。給付制限期間中は失業保険が支給されませんが、失業認定は受けなければなりません。
一般の離職者は、特定受給資格者や特定理由離職者に比べて支給開始が遅くなります。待機期間や給付制限期間があることにより、本当に支援が必要な人へ失業保険を支給する仕組みです。
特定受給資格者・特定理由離職者の場合
特定受給資格者や特定理由離職者は、一般の離職者に比べて有利な条件で失業保険を受け取れます。給付制限期間がなく早期に受給開始でき、45歳以上で1年以上雇用されていた場合は、給付日数が手厚くなります。再就職手当や就業促進定着手当などの再就職支援制度も利用できるため、次の就職活動に有効です。
条件によっては、技能習得手当や寄宿手当などの追加給付を受けられます。雇用保険の被保険者期間が1年未満でも受給できる場合があるため、早めにハローワークで確認・相談しましょう。
給付制限期間の違い
給付制限期間は離職理由によって異なります。一般の離職者は2か月の給付制限期間がありますが、特定受給資格者と特定理由離職者にはありません。7日間の待機期間終了の翌日から数えます。待機期間中も求職活動が必要です。給付制限期間が終了し、失業認定を受けたら、支給が開始されます。
大規模な災害など特別な場合は、給付制限期間が短縮されることもあります。自分がどの区分に当てはまるのかを確認し、給付制限期間を把握しておきましょう。
失業保険がもらえる日数
失業保険の給付日数は年齢や被保険者期間、退職理由によって変動します。退職理由別の給付日数の目安は、以下のとおりです。
- 自己都合退職:90〜240日
- 会社都合退職:90〜360日
自己都合退職の場合
自己都合退職の場合、失業保険の給付日数は年齢と被保険者期間によって決まります。原則として2か月の給付制限期間があり、期間中は失業保険を受け取れません。給付日数は45歳未満の場合、被保険者期間により90〜150日に変動します。45歳以上65歳未満の場合は、被保険者期間に応じて150〜240日までです。
離職理由によっては給付制限期間が1か月に短縮され、早く失業保険を受け取れる場合もあります。自己都合退職は会社都合退職に比べて給付日数が少ないですが、長期間働いていた人ほど給付日数が長くなる仕組みです。転職や再就職の計画を立てる際は、自身の給付日数を考慮に入れましょう。
» 自己都合退職でも失業保険を受給する方法を解説
会社都合退職の場合
会社都合退職の場合、失業保険は自己都合退職より手厚く、支給開始も早いのが特徴です。離職後の7日間の待機期間を経て、すぐに受給が始まり、給付制限はありません。リストラや倒産など、本人の意思に関係なく離職した状況に対する迅速な支援が目的です。給付日数は雇用保険の加入期間や年齢によって異なります。
45歳以上で加入期間が10年以上の場合、最大330日分の給付を受け取ることが可能です。加入期間が1年以上あれば、最低でも90日分が支給されるため、一定期間の生活費をカバーできます。
» 会社都合退職の基礎知識から失業保険の受給方法と注意点を解説
失業保険をもらうときの注意点
失業保険給付の手続きをスムーズに行うために、以下の点に注意しましょう。
- 定期的に求職活動実績を報告する
- アルバイトやパートを制限する
- 虚偽申告や不正受給を行わないようにする
- 健康保険・年金の手続きを行う
- 再就職を報告する
求職活動実績の報告
求職活動実績の報告は、失業保険を受給するために必要な手続きです。4週間ごとの失業認定日にハローワークで行います。求人応募や面接参加、ハローワークでの職業相談などの活動内容を求職活動実績証明書に記入し、提出しましょう。最低でも2回以上の求職活動実績が必要となります。
オンラインの求人サイトでの応募も実績として認められるので、積極的に活用しましょう。虚偽の報告は不正受給とみなされる可能性があるため、正確な記録が重要です。正当な理由なく実績がない場合、給付が停止されることもあるため注意してください。
アルバイトやパートの制限
失業保険はアルバイトやパートをしながらでも受給できますが、いくつかの制限があります。週20時間以上働くと、失業状態とはみなされなくなるため注意してください。収入については、日額が基本手当日額の13%を超えると減額対象となり、月収が15万円以上になると支給が停止されます。
アルバイトやパートの収入は必ず申告しなければなりません。短期の仕事でも、就労日数や収入の報告は義務です。報告を怠ると不正受給とみなされる可能性があるので気をつけてください。収入が一定以下なら失業保険と併給できます。就労日数が多いと受給期間が延長される場合があるので注意しましょう。
早期に就職できれば、再就職手当が活用できます。ルールの中で働いて生活の安定を図りながら、次の仕事を探しましょう。
不正受給のリスク
不正受給は重大な違法行為であり、厳しい罰則が設けられています。発覚した場合、不正受給額の2倍の金額を返還しなければなりません。最悪の場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。不正受給を避けるためには、再就職や収入の報告を正直に申告し、不明点があれば確認しましょう。
健康保険や年金の支払い
失業保険受給中でも健康保険や年金を支払う必要がありますが、収入減少で難しい場合は、いくつかの制度で負担を軽減できます。健康保険は、任意継続被保険者制度や国民健康保険が選択肢として挙げられます。年金については、免除制度や猶予制度の申請が可能です。保険料の支払いが困難な場合は、早めに自治体へ相談しましょう。
専門家のアドバイスにより、自身に合った対応策が見つかります。失業保険の受給が終了した後も、健康保険や年金の手続きを忘れずに行ってください。将来の生活を守るためにも、適切に管理しましょう。
まとめ
失業保険の受給にはさまざまな条件や手続きがあります。離職理由によって受給条件が異なり、ハローワークでの手続きが必要です。基本手当日額は賃金日額をもとに計算され、受給開始のタイミングや期間も状況によって変わります。受給中は求職活動実績の報告が欠かせません。
アルバイトやパートには制限があり、不正受給には厳しいペナルティが科されるため、ルールを守ることが大切です。健康保険や年金の支払いも忘れずに行いましょう。失業保険制度を正しく理解し、適切に利用すれば、次の就職に向けた準備期間を有効に活用できます。
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