突然の失業で収入がなくなり不安と感じる方が多くいます。失業保険の手続きを知らないと生活費が不足し、食費や家賃の支払いが困難になりやすいです。この記事では、失業保険の手続きについて詳しく解説します。記事を最後まで読むと、失業保険の仕組みを理解できるため、スムーズに手続きを進められます。
» 失業保険のもらい方や受給条件、金額の計算方法を徹底解説
失業保険の手続きをする前に知っておきたい基礎知識
失業保険は突然の失業に備える重要な制度です。受給には雇用保険の被保険者であることが必要で、離職理由や勤務期間によって資格が変わります。再就職手当や教育訓練給付金など関連制度もあり、基礎知識を押さえておくとスムーズです。以下で詳しく解説をします。
- 失業保険を受け取るための条件
- 失業保険の受給期間と給付日数
- 失業保険の金額と計算方法
失業保険を受け取るための条件
失業保険を受け取るための条件は以下のとおりです。
- 雇用保険の被保険者
- 被保険者期間
- 労働の意思と能力
- 積極的な求職活動
公平な給付を目的とし、本当に支援を必要とする人々を助けるために設けられています。自己都合による退職の場合は、3か月の給付制限期間があります。定年退職や契約期間満了の場合の待機期間は7日間です。年齢や健康状態にも条件があります。原則として65歳未満です。
すぐに働ける状態なのが条件の一つです。雇用状況についても制限があります。失業保険を受給するためには、雇用されていないか、雇用されていても所定労働時間が週20時間未満です。条件を満たすと、失業保険を受け取る資格が得られます。条件を確認し、自分が該当するか判断しましょう。
» 失業保険の受給条件や手続きの流れを解説!
失業保険の受給期間と給付日数
受給期間は離職日の翌日から1年間で、期間内に決められた給付日数分の失業保険を受け取れます。給付日数は、年齢や雇用保険の被保険者期間、離職理由などによって変わります。一般の離職者の場合は90〜360日の間です。
特定受給資格者(倒産・解雇等)の場合は90〜330日、特定理由離職者(雇止め等)の場合は90〜360日です。以下のような特別な条件に該当する場合は、給付日数が異なります。
- 障害者等の就職困難者
- 45歳以上65歳未満の長期加入者
- 65歳以上の高齢者
障害者等の就職困難者と45歳以上65歳未満の長期加入者の場合は最大360日、65歳以上の高齢者は一律50日です。自己都合退職の場合は、給付制限期間(3か月)があります。病気やけがなどの特別な事情がある場合は、受給期間の延長が認められます。
» 自己都合退職でも失業保険を受給する方法を解説
失業保険の受給期間と給付日数を正確に把握し、効果的な求職活動を行ってください。自分の状況に合わせて、適切な計画を立てましょう。
» 失業保険の受給開始時期や給付期間などをわかりやすく解説!
失業保険の金額と計算方法
失業保険の金額は、離職前の賃金をもとに計算されます。基本手当日額は、離職前の賃金の50〜80%ですが、上限があり、年齢によって6,195〜8,265円に設定されています。計算方法は、離職前6か月の賃金総額÷180日×給付率です。給付率は、年齢や雇用保険の被保険者期間によって決まります。
60〜64歳の方は別の計算方法です。賞与がある場合は、3年間の平均を12で割った額を月額に加算します。短時間労働者の場合は特例があり、計算方法が異なります。基本手当以外に支給される手当は以下のとおりです。
- 技能習得手当
- 寄宿手当
再就職手当は、基本手当の残日数に応じて支給されるのが特徴です。高年齢求職者給付金は一時金として支給されます。計算方法や支給額は、個人の状況によって異なります。詳しくはハローワークに確認してください。
失業保険の手続きの流れ
失業保険の手続きの流れは以下のとおりです。
- 離職票を受け取る
- ハローワークで求職手続きをする
- 雇用保険受給者説明会に参加する
- 求職活動の実績を報告する
- 失業認定を受ける
- 給付が開始される
離職票を受け取る
会社を退職した後、速やかに離職票を受け取りましょう。離職票は退職後1週間以内に会社から交付されます。「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2種類です。離職票を受け取ったら、以下の点に注意して内容を確認しましょう。
- 記載内容
- 退職理由
- 在職期間や賃金額
不明な点や誤りがあれば、すぐに会社に問い合わせて確認や修正を依頼してください。離職票は失業保険の手続きに必要な重要書類なので、紛失しないよう大切に保管しましょう。万が一紛失した場合は、会社に再発行を依頼する必要があります。
ハローワークで求職手続きをする
ハローワークでの求職手続きは、失業保険を受給するために必要不可欠なステップです。手続きを適切に行うと、スムーズに失業保険を受給できます。以下の具体的な手順を参考にしてください。
- ハローワーク訪問
- 住所地のハローワークに直接訪れます。
- 求職申込書の記入
- 窓口で配布される求職申込書に必要事項を記入してください。
- 求職申込書の提出
- 記入した求職申込書を窓口職員に提出します。
- 職員との面談
- 提出後、職員と面談を行い、状況や希望などを伝えましょう。
- 離職票の提出
- 雇用保険被保険者離職票-1・2を提出します。
- 被保険者証の提出
- 雇用保険被保険者証を持っている場合は、併せて提出します。
- 本人確認書類の提示
- 運転免許証やパスポートなど、本人確認書類を提示しましょう。
- 求職申込みの受理
- 手続きが完了すると、求職申込みが受理されます。
- 求職受付票の発行
- 求職受付票が発行されます。
- 求職者マイページ登録
- 希望に応じて、求職者マイページに登録してください。
- 雇用保険説明会日程確認
- 雇用保険説明会の日程を確認し、予約を行います。
- 失業認定日の指定
- 初めての失業認定日が指定されます。
求人情報の閲覧方法や利用可能なサービスについての説明も受けましょう。適切に手続きを行うと、円滑に失業保険の受給を開始できます。手続きには期限があるので注意が必要です。
雇用保険受給者説明会に参加する
雇用保険受給者説明会への参加は、失業保険を受給するための重要な手続きです。説明会では、失業給付の受け方や求職活動の進め方について詳しく学べます。指定された日時と場所を確認し、時間に余裕を持って参加してください。雇用保険受給資格者証を忘れずに持参しましょう。
筆記用具を用意し、メモの準備をおすすめします。説明会の内容は以下のとおりです。
- 失業給付の受給手続き
- 求職活動の方法
- 失業認定申告書の記入方法
- 求職活動実績の報告方法
- 受給期間中の注意事項
説明会終了後は、次回の失業認定日を確認します。個別の相談が必要な場合は、担当者に申し出て個別相談の利用もできます。しっかりと説明を聞き、必要な情報を得ると、スムーズな手続きと効果的な求職活動が可能です。
求職活動の実績を報告する
2週間に1回、ハローワークに来所して求職活動の実績の報告を行う必要があります。報告の際は、求職活動実績報告書に活動内容を記入して提出しましょう。活動内容として、以下のようなものが挙げられます。
- 求人応募
- 面接
- 職業訓練
- オンラインでの求人検索
- 企業研究
求職活動を記録し、報告をします。面接証明書などの証明書類がある場合は、添付してください。正当な理由なく報告を怠ると、給付が停止される可能性があるので注意が必要です。報告の際には、ハローワーク職員からアドバイスを受けられる機会もあります。
活動内容や頻度が不十分と判断された場合、追加の活動を求められる場合もあります。就職が決まった場合は、速やかに報告しましょう。定期的な報告と適切な求職活動を行うと、スムーズな失業保険の受給につながるため、しっかりと取り組んでください。
失業認定を受ける
失業認定を受けるには、4週間ごとに指定された認定日にハローワークに出向く必要があります。失業保険を継続して受給するための重要な手続きです。手順は以下のとおりです。
- 求職活動実績報告
- 失業状態の証明
- 就職活動状況確認
- 失業認定申告書提出
失業認定を受けると、次回の認定日までの失業保険が支給されます。正当な理由なく認定日に来所しない場合、給付を受けられません。病気やケガで認定日に来所できない場合は、事前にハローワークに連絡しましょう。就職が決まった場合は速やかに報告する必要があります。失業認定は定期的に行われる重要な手続きです。
給付が開始される
失業保険の給付は、失業認定を受けた後に開始されます。給付金は指定された支払日に銀行口座に振り込まれます。通常、給付は4週間ごとに行われ、初回の支給は手続き完了から約1か月後です。給付金額は前職の給与や勤続年数によって変わるため、個人によって異なります。
給付金は非課税所得として扱われるため、税金の心配はありません。受給期間中は定期的に失業認定を受ける必要があります。給付終了後も求職活動支援などのサービスを受けられます。ハローワークのサポートを活用しながら、新しい仕事を見つける努力を続けてください。
失業保険の手続きに必要な書類
失業保険の手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票-1・2
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類
- 通帳またはキャッシュカード(振込先口座)
雇用保険被保険者離職票-1・2
雇用保険被保険者離職票-1・2は、失業保険の手続きに欠かせない重要な書類です。離職者に対して前の勤務先から交付される公的な証明書になります。離職票-1と離職票-2の2枚で1組となっており、重要な情報が記載されています。
雇用保険被保険者離職票-1・2に含まれている内容は以下のとおりです。
- 離職の理由
- 雇用保険の加入期間
- 離職前の賃金
雇用保険被保険者離職票-1・2は失業給付を受ける際に必要不可欠です。ハローワークでの手続きの際に、離職票を提出する必要があります。失業給付以外にも、再就職手当の申請にも使用できるので、大切に保管してください。
離職日から1年以内に手続きをしないと失効してしまうので注意が必要です。紛失してしまった場合は、前の勤務先に再発行を依頼をします。勤務先が倒産してしまった場合は、労働基準監督署で発行しましょう。記載内容に誤りがある場合は、勤務先に訂正を依頼してください。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する大切な書類です。雇用保険の被保険者資格を取得したときに交付されます。雇用保険被保険者証には、以下のような重要な情報が記載されています。
- 被保険者番号
- 氏名
- 生年月日
- 性別
雇用保険被保険者証は、失業保険の手続きをする際に必要な書類です。離職時には、事業主から返却されるので、必ず受け取りましょう。雇用保険被保険者証を紛失してしまった場合はハローワークで再発行できます。退職後も大切に保管してください。次の就職先でも使用する可能性があるためです。
雇用保険被保険者証の裏面には、雇用保険の加入履歴が記載されています。転職や再就職の際に加入期間を確認する際に役立ちます。雇用保険被保険者証に有効期限はありませんが、記載内容に変更がある場合は書き換えが必要です。常に最新の情報が反映されているか確認しましょう。
本人確認書類
失業保険の手続きには、本人確認書類の提出が必要です。申請者の身元を確認するための重要な手続きになります。本人確認書類として認められるものは以下のとおりです。
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード(写真付き)
- 在留カード
- 特別永住者証明書
顔写真付きの公的な身分証明書として広く認められています。顔写真付きの身分証明書を持ってない方は下記の証明書を用意しましょう。
- 健康保険証(住所記載があるもの)
- 年金手帳(基礎年金番号通知書)
- 住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)
- 印鑑登録証明書
写真付きの身分証明書がない場合は、複数の書類の提示を求められる場合があります。本人確認書類は、手続きの際に必ず必要となるので、忘れずに持参しましょう。有効期限が切れていないか、事前に確認するのをおすすめします。
通帳またはキャッシュカード(振込先口座)
通帳やキャッシュカードは、失業保険の給付金を受け取るために必要な書類です。振込先口座の情報を正確に伝えるために用意しましょう。具体的には、以下のものが該当します。
- 本人名義の銀行口座の通帳
- 本人名義のキャッシュカード
- 口座情報が確認できる書類
通帳やキャッシュカードには、銀行名や支店名、口座番号、口座名義などの情報が記載されています。情報をもとに、ハローワークで手続きを行います。電子通帳やネットバンキングを利用している場合は、口座情報が分かる画面のスクリーンショットや印刷物でも構いません。
ゆうちょ銀行の場合は、記号番号も必要になるので注意してください。通帳やキャッシュカードを用意すると、スムーズに手続きを進められます。
失業保険の手続きをする際の注意点
失業保険の手続きをする際の注意点は以下のとおりです。
- 失業保険の手続きには期限がある
- アルバイトやパートが制限される
- 不正受給にはリスクがある
失業保険の手続きには期限がある
失業保険の手続きは、離職日から原則1年以内です。期限を過ぎてしまうと、受給資格が失効します。特定の理由がある場合は、最大4年まで期限を延長できます。延長が認められる理由は以下のとおりです。
- 妊娠・出産
- 育児
- 疾病・負傷
できるだけ早く手続きを行いましょう。離職票を受け取ったら、すぐにハローワークに行くのがおすすめです。期限を意識して行動すると、失業保険の恩恵を最大限に受けられます。
アルバイトやパートが制限される
アルバイトやパートをする際には、失業保険の受給に影響を与える可能性があるので注意が必要です。収入が一定額を超えると、失業保険の給付が減額または停止される場合があります。週20時間以上の就労をすると、失業状態とみなされません。
アルバイトで得た収入は必ず申告してください。短期のアルバイトの場合は、認定日と認定日の間の期間のみ可能です。副業や自営業を始める場合は、事前にハローワークに相談する必要があります。就労日数や収入によっては、受給資格を失う可能性もあるので気をつけてください。
失業保険を受給しながらアルバイトをする場合は、就職活動に支障がない程度の短時間労働がおすすめです。収入が増えると失業保険の受給額が減少する場合があります。制限を守ると、適切に失業保険を受給しながら、次の就職に向けての準備が可能です。
不正受給にはリスクがある
不正受給は大変危険な行為です。不正受給が発覚した場合、受給した給付金の全額返還が求められるだけでなく、詐欺罪として刑事罰の対象になる可能性があります。不正受給のリスクは以下のとおりです。
- 最大10年間の失業給付停止
- 不正受給事実の公表
- 雇用保険加入記録の抹消
- 再就職先での評価悪化
社会的信用を失うリスクも高いです。一時的な利益を得ようとして不正受給を行うのは、長期的に見ると大きな損失につながります。正直に手続きを行い、適切に給付金を受け取りましょう。
失業保険の手続きに関するよくある質問
失業保険の手続きに関して、よくある質問と回答をまとめました。
- 健康保険や年金の支払いはどうなる?
- 失業保険以外に手続きすべき手当や給付金はある?
健康保険や年金の支払いはどうなる?
失業後は健康保険は国民健康保険に変更しましょう。国民健康保険料は所得に応じて決まるので、失業中は減額される可能性があります。年金は国民年金に切り替えてください。国民年金保険料の免除や猶予制度を利用できる場合があるので、経済的な負担を軽減できます。
住民票のある市区町村の役所で手続きを行います。速やかに切り替え手続きを行うのが重要です。手続きが遅れると、保険料の支払いが滞る可能性があるので注意しましょう。具体的な手続きは以下のとおりです。
- 国民健康保険への加入手続き
- 国民年金への切り替え手続き
- 保険料の減額や免除の申請
失業保険以外に手続きすべき手当や給付金はある?
失業保険以外にも、状況に応じて受けられる手当や給付金があります。生活の支えとなるので、確認しておくのをおすすめします。手当や給付金は以下のとおりです。
- 雇用調整助成金
- 就職活動関連の給付金
- 高年齢求職者給付金
- 育児休業給付金
- 介護休業給付金
- 住居確保給付金
- 生活保護
- 職業訓練受講給付金
- 傷病手当金
就職活動関連の給付金には、就業促進手当や再就職手当などがあります。経済的な負担を軽減するための制度もあります。具体的な制度は以下のとおりです。
- 国民健康保険料の減免制度
- 国民年金保険料の免除・猶予制度
- 緊急小口資金・総合支援資金
手当や給付金は、申請条件や手続き方法が異なります。自分の状況に合わせて、利用できるものを確認しましょう。
まとめ
失業保険の手続きは複雑に見えますが、正しい知識と準備があれば円滑に進められます。受給条件や期間、金額を理解し、必要な書類を用意しましょう。手続きの流れを把握し、順序通りに進めると、スムーズに失業保険を受給できます。注意すべき点として、手続きには期限があるので守る必要があります。
アルバイトの制限や不正受給のリスクにも気をつけましょう。健康保険や年金の扱い、他の手当や給付金についても自分に利用できるものがあるかを確認してください。ハローワークでの手続きと求職活動を継続的に行うと、再就職への道が開けます。
失業保険は一時的な収入の支えとなるだけでなく、新たな仕事を見つけるための助けになります。
コメント