失業保険の受給期間はどのくらい?条件や給付金額もわかりやすく解説

  • 失業して収入がなくなり不安がある
  • 失業保険の仕組みがよくわからない
  • 失業保険をどのくらいの期間もらえるのか知りたい

失業保険は、誰にとっても必要になる可能性がある重要な制度です。しかし、仕組みや受給条件を詳しく理解している人は多くありません。この記事では、失業保険の受給条件や期間、給付金額について詳しく解説します。記事を読むと、自分がいつから失業保険をどのくらいの期間もらえるかわかります。

失業保険制度の全体像を理解し、自分に合った活用方法を見つけましょう。
» 退職後に必要な手続きとは?漏れなく効率的に進める手順を解説

目次

失業保険の受給条件

失業保険の受給条件は、以下の対象者ごとに異なります。

  • 一般の離職者
  • 特定受給資格者
  • 特定理由離職者

一般の離職者

一般の離職者が失業保険を受給するには、離職前2年間で被保険者期間が通算12か月以上必要です。自己都合退職や定年退職など、一般的な離職理由が該当します。再就職の意思と能力があり、定年が65歳未満の場合も対象です。高年齢被保険者は対象外です。

条件を満たすことで失業保険を受給できるため、内容を確認し適切に申請しましょう。
» 自己都合退職でも失業保険を受給する方法を解説

特定受給資格者

特定受給資格者には、一般の離職者より手厚い保護があります。受給資格は、通算12か月以上の被保険者期間が必要です。離職理由が正当で、就職の意思と能力があることが条件です。受給するためには、受給資格決定日から1年以内に失業認定を受ける必要があります。

特定受給資格者は、以下の条件に該当する方が対象です。

  • 倒産
  • 会社都合による解雇
  • 65歳未満の定年
  • 早期退職優遇制度
  • 事業主の勧奨による離職者

特定受給資格者は、給付日数が一般の離職者より多い点が特徴です。給付日数は年齢や被保険者期間に応じて変動します。特定受給資格者は通常の離職者と異なる扱いを受けます。会社都合で離職した場合は、該当するか確認しましょう。

特定理由離職者

特定理由離職者とは、一般の離職者と特定受給資格者の中間に位置する離職者を指します。失業保険の受給期間や給付日数で特別な扱いを受けられることが特徴です。特定理由離職者には、以下の方が含まれます。

  • 雇止めによる離職者
  • 有期雇用契約不更新による離職者
  • 正当な自己都合退職者
  • 事業所移転等による離職者
  • 育児・介護等による離職者

特定理由離職者は給付日数が延長されるなど、一般の離職者より手厚い失業保険を受けられます。特定受給資格者ほどの待遇ではありません。該当するかは、離職理由や状況にもとづき個別に判断されます。自身が特定理由離職者に該当するか迷う場合は、ハローワークに相談しましょう。

失業保険の受給期間と給付日数

以下の状況別に失業保険の受給期間と給付日数について解説します。
» 失業保険の受給開始時期や給付期間などをわかりやすく解説!

  • 一般の離職者
  • 特定受給資格者および特定理由離職者
  • 就職困難者

一般の離職者

一般の離職者の場合、主に自己都合での退職が該当します。自己都合退職者が失業保険を受給するには、離職後7日間の待機期間に加え、給付制限期間が原則3か月です。給付制限期間は、制度上は「働ける状態で積極的に求職活動をしていること」を確認するために設けられています。

給付制限期間中はハローワークへの定期的な訪問や職業訓練への参加などが必要です。給付日数に関しては、離職時の年齢や被保険者期間によって以下のように決定されます。

被保険者期間1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日120日150日
30歳以上45歳未満120日180日210日
45歳以上65歳未満150日240日330日

給付日数の制度設計は、年齢が高くなるほど再就職が難しくなることを考慮したものです。一般の離職者が失業保険を活用するには、待機期間と給付制限期間中に計画的な求職活動を進めることが重要です。

特定受給資格者および特定理由離職者

特定受給資格者および特定理由離職者は、一般の離職者とは異なる基準で失業保険を受給できます。予期せぬ事情で仕事を失った方々を支援するための措置です。具体的には、次の方が該当します。

  • 倒産や解雇で離職
  • 雇止めで離職した有期雇用労働者
  • 契約更新されずに離職
  • 正当な理由がある自己都合退職

特定受給資格者および特定理由離職者の場合、原則として3か月の給付制限期間が適用されません。離職後7日間の待機期間を過ぎると速やかに給付が開始されます。予期せぬ離職による生活の困難を緩和する目的で設けられた措置です。給付日数も一般の離職者と比較して多めに設定されていることが一般的です。

年齢が上がるほど以下のように給付日数が増える仕組みになっています。

被保険者期間1年以上5年未満5年以上10年未10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日120日180日210日
30歳以上45歳未満120日180日240日270日
45歳以上65歳未満150日240日270日330日

特定受給資格者の中にはさらに長期間の給付が可能なケースもあり、失業者の置かれた状況や再就職の困難さを考慮して決定されます。特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合は、離職理由を証明するために必要な書類をそろえることが重要です。

解雇通知や退職理由を明記した証明書が含まれます。必要書類をハローワークに提出することで、速やかに給付を受ける準備が整います。早めに必要な手続きを進め、給付を受けながら次のキャリアへの道を模索することが大切です。
» 会社都合退職の基礎知識から失業保険の受給方法と注意点を解説

就職困難者

就職困難者は、就職が難しい状況にある方への配慮として設けられた制度です。自己都合で退職した場合、7日間の待機期間と3カ月の間は支給されません。ただし、自己都合ではない場合、7日間の待機期間が終了すると受給できます。

該当者は以下のとおりです。

  • 障害のある方
  • 地域的な理由で就職が難しい方
  • 長期間失業状態にある方
  • 技能や知識の不足によって就職が困難な方

就職困難者として認定されると、以下のようにほかの条件に比べて受給期間が長くなります。

被保険者期間1年未満1年以上
45歳未満150日300日
45歳以上65歳未満150日360日

制度を利用する際は、ハローワークで就職困難者としての認定を受けることが必要です。

失業保険の受給期間を延長できるケースと手続き

失業保険の受給期間を延長できるケースと手続きを以下で解説します。

  • 延長できるケース
  • 延長できる期間
  • 必要な書類と手続き

» 失業保険のもらい方や受給条件、金額の計算方法を徹底解説

延長できるケース

失業保険の受給期間を延長できるケースは以下のとおりです。

  • 病気やケガ
  • 妊娠や出産、育児
  • 親族の介護
  • 災害被災
  • 60歳以上の求職者
  • 職業訓練や教育訓練
  • 海外居住
  • 刑事施設拘禁
  • 公共職業安定所長が認めた場合

該当する場合、失業保険の受給期間を延長できます。延長の可否は個別の状況によって異なります。延長を希望する場合は、早めにハローワークに相談しましょう。延長手続きや必要書類は事情により異なるため、事前に相談して確認することが大切です。

延長できる期間

失業保険の受給期間は、特定の状況下で延長が可能です。延長期間は状況により異なりますが、最長で3年間となります。60歳以上の方が厚生労働大臣認定の講習を受講する場合は、最大2年間です。災害で離職した場合は最大1年間延長されます。海外に居住する配偶者に同行する場合は最大3年間です。

職業訓練等を受講する場合は、訓練期間分延長できます。延長措置は、就職活動が困難な方を支援するための制度です。延長を希望する際は、必要な手続きを早めに進めましょう。

必要な書類と手続き

失業保険の受給期間を延長するには、必要な書類と手続きがあります。本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカードが必要です。3cm×2.5cmの写真を2枚用意しましょう。雇用保険被保険者証を所持している場合は、提出を求められます。延長理由を証明する書類は、病気の診断書や介護証明書などです。

必要書類がそろったら、次の手続きを進めましょう。

  1. ハローワークで失業認定申告書を提出する
  2. 延長申請書を記入して提出する
  3. 必要に応じて面接や審査を受ける

書類の準備と手続きを正しく行うことで、スムーズに受給期間の延長ができます。不明な点があれば、ハローワークの窓口で相談しましょう。

失業保険の受給期間中にもらえる金額

失業保険の受給期間中にもらえる金額について以下を解説します。

  • 賃金日額と基本手当日額
  • 年齢別の給付金額の目安
  • 給付金額のシミュレーション

賃金日額と基本手当日額

賃金日額と基本手当日額は、失業保険の給付金額を決める重要な要素です。賃金日額は、離職前6か月間の賃金総額を180で割った金額です。基本手当日額は、賃金日額の50~80%で算出されます。年齢や賃金日額により支給率が異なります。上限額は日額7,775円、下限額は日額1,984円です。

60~64歳の場合、上限額は日額6,811円に設定されています。賃金日額が4,670円以下の場合、基本手当日額は賃金日額と同額です。高年齢求職者給付金は、賃金日額の45%が支給されます。給付金額は年齢や過去の賃金に応じて異なるため、自分が該当する区分を事前に確認しましょう。

年齢別の給付金額の目安

年齢別の給付金額は、賃金日額をもとに計算されます。一般的に、年齢が上がると給付率が変動します。30歳未満から45歳以上60歳未満までは賃金日額の80%、60歳以上は75%が条件です。上限額は年齢や地域で異なります。下限額は全国一律で日額1,828円です。

給付率が年齢ごとに異なるのは、各年代の生活状況や再就職の難しさが考慮されるためです。正確な給付金額を知りたい場合は、ハローワークに相談しましょう。

給付金額のシミュレーション

給付金額のシミュレーションは簡単に行えます。基本手当日額と支給日数を掛け合わせると、概算の給付金額を把握できます。シミュレーションを行う際は、以下の情報を確認しましょう。

  • 年齢
  • 離職理由
  • 雇用保険の被保険者期間
  • 過去6か月の賃金総額

必要な情報を入力することで、受給可能な金額の目安を簡単に確認できます。実際の給付額は個別の状況によって異なる場合があるため、注意が必要です。正確な金額を知りたい場合は、ハローワークで確認しましょう。

失業保険の受給期間中の注意点

失業保険の受給期間中の注意点について以下を解説します。

  • ハローワークに訪問する必要がある
  • アルバイトやパートに制限がある
  • 不正受給にはリスクがある

ハローワークに訪問する必要がある

ハローワークへの訪問は、失業保険を受給するために欠かせない条件です。失業認定日には、求職活動の実績を報告する必要があり、定期的な訪問が求められます。訪問を怠ると、給付が停止される場合があるため注意が必要です。正当な理由がある場合は、事前に連絡すれば対応してもらえます。

近年では一部サービスがオンライン化され、オンラインでの失業認定も可能です。

アルバイトやパートに制限がある

アルバイトやパートに制限があることは、失業保険受給者にとって重要な注意点です。収入が一定額を超えると、給付が減額されたり受給資格を失ったりする場合があります。具体的な制限は以下のとおりです。

  • 週20時間以上の就労がある
  • 収入が基本手当日額の13倍を超える
  • 短期アルバイトを事前に申告する

完全に就労が禁止されているわけではありません。副業や自営業を含め、収入制限の範囲内であれば就労は可能です。収入がある場合は、ハローワークに報告する義務があります。不正受給を避けるためにも、アルバイトやパートを始める際は事前にハローワークへ相談し、正しく申告しましょう。

不正受給にはリスクがある

不正受給は違法行為です。虚偽の申告や届出による不正受給が発覚した場合、厳しい処罰を受けます。具体的なリスクは以下のとおりです。

  • 返還命令や罰金が発生する
  • 刑事罰を受ける
  • 受給資格が取り消される
  • 社会的信用が損なわれる

不正受給を防ぐため、ハローワークでは厳格な審査と調査が行われています。不正受給の事実は雇用保険データベースに記録されるため、長期的な影響にも注意が必要です。受給者には正直な申告とルールの遵守が求められます。責任ある行動を心がけ、不明な点はハローワークで確認しましょう。

失業保険の受給期間に関するよくある質問

失業保険の受給期間に関するよくある以下の質問について解説します。

  • 失業保険の受給中に転職が決まった場合はどうなる?
  • 一度失業保険を受給すると二度と受給できない?

失業保険の受給中に転職が決まった場合はどうなる?

失業保険の受給中に転職が決まった場合、残りの給付日数が28日以上ある場合、再就職手当を受け取れる可能性があります。転職が決まったら、ハローワークに報告しましょう。就職日の前日まで失業保険を受給できるため、安心して転職準備を進めることが可能です。

失業保険を受け取れる場合は、残りの給付日数の50~60%が一時金として支給されます。再就職後に6か月以上継続して働いた場合には、就業促進定着手当を受け取ることが可能です。就業促進定着手当は、再就職手当の40%相当額です。

再就職手当を受け取らなかった場合でも、基本手当日額の30%相当額が支給される就業手当を受けられます。失業保険の受給中に転職が決まった際は、手続きを行うことでさまざまな支援の活用が可能です。

一度失業保険を受給すると二度と受給できない?

失業保険は一度受給しても、再度受給できなくなるわけではありません。受給回数に制限はなく、条件を満たせば何度でも受給可能です。以下の条件を満たしていれば、再度失業保険を受給できます。

  • 前回の受給から1年以上経過している
  • 離職理由が受給資格を満たしている
  • 雇用保険の加入期間が条件を満たしている

頻繁な受給は審査が厳しくなるため注意が必要です。不正受給は罰則の対象になるため、ルールを守って適切に利用しましょう。再就職後に一定期間勤務すれば、再度受給資格を得ることも可能です。大切なのは受給回数ではなく、受給条件を満たしているかどうかです。

詳細な条件や手続きについては、ハローワークで確認することをおすすめします。失業保険は再就職までの生活を支える重要な制度です。正しい手続きで利用しましょう。

まとめ

失業保険の受給には、さまざまな条件と注意点があります。受給条件は離職理由や雇用期間によって異なり、受給期間や給付日数は年齢や離職理由によって変動します。特定の条件を満たせば、受給期間の延長が可能です。給付金額は、過去の賃金と年齢をもとに計算されます。

受給中はハローワークへの定期的な訪問や就労制限など、守るべきルールを事前に確認しましょう。転職が決まった場合や再受給に関する疑問については、ハローワークで相談するのがおすすめです。不正受給を避けるためにも、正確な手続きを行うことが大切です。

失業保険制度を正しく理解し、適切に活用すると次の就職に向けた準備期間を有効に過ごせます。困ったときは専門家に相談し、自分に合った方法で制度を利用しましょう。

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